CSLベーリング株式会社(本社 東京都港区、代表取締役社長 ジャン・マルク モランジュ)は、本日、「遺伝性血管性浮腫(HAE:Hereditary angioedema、以下HAE)の急性発作の発症抑制」を効能・効果とする、血漿分画製剤(乾燥濃縮人C1-インアクチベーター製剤)「ベリナート®皮下注用2000」が薬価収載されたことを発表しました。
「ベリナート®皮下注用2000」は、本効能・効果に対し60 IU/kgを週に2回投与する皮下注用製剤で、HAE患者さんで不足した血中C1インアクチベーターを補充し、安定的に維持することを可能にし、自宅で自己投与することができます。「ベリナート®皮下注用2000」は2020年8月17日に「遺伝性血管性浮腫の発作の発症抑制」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定され、2022年9月26日に厚生労働省より製造販売承認されています。
【「ベリナート®皮下注用2000」の概要】
製品名 |
ベリナート®皮下注用2000 |
効能又は効果 |
遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制 |
用法及び用量 |
本剤を添付の溶解液全量で溶解し、皮下投与する。 通常、1回体重1kg当たり60国際単位を週2回投与する。 |
製造販売承認取得日 |
2022年9月26日 |
薬価基準収載日 |
2022年11月16日 |
薬価 |
2000国際単位1瓶(溶解液付) 214,788円(1日薬価:92,052円) |
製造販売 |
CSLベーリング株式会社 |
【遺伝性血管性浮腫(HAE)について】
HAEは、主に遺伝子の変異により血液中のC1インアクチベーターの低下もしくは機能異常により起こる病気です。皮膚や腹部(腸)、手足や唇、のどなど、身体中のさまざまな箇所に繰り返し腫れが起こり、特にのどが腫れると気道をふさいで呼吸困難に陥り、命に関わる場合もあります。HAEは、国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患の一つに認定されています。日本で診断・治療中の患者さんは約430名いるという報告1があります。海外のデータでは人口の5万人に1人の割合で患者さんがいるといわれており2、日本にはおよそ2,500人の患者さんがいると推定されています3。
【「ベリナート®皮下注用2000」の臨床試験について】
「ベリナート®皮下注用2000」は、海外第Ⅲ相臨床試験であるCOMPACT (Clinical Study for Optimal Management of Preventing Angioedema with low-volume subcutaneous C1-inhibitor replacement Therapy)試験4、COMPACT長期投与試験 (Open-label Extension)5 及び国内第Ⅲ相臨床試験での「ベリナート®皮下注用2000」の有効性と安全性が評価され、本年9月26日に厚生労働省より製造販売承認されました。
COMPACT試験では、期間で調整したHAEの発作頻度は「ベリナート」 60 IU/kg群0.52回/月、プラセボ群4.03回/月で、プラセボ投与に対する本剤60 IU/kg投与の優越性が示されました(p<0.001、混合モデル)。また、期間で調整したHAE発作頻度のプラセボと比較した減少率の中央値(第1四分位数, 第3四分位数)は、60 IU/kgで95.1%でした。国内第Ⅲ相臨床試験では、海外第Ⅲ相臨床試験と同様に、日本人HAE患者さんに対しても本剤60 IU/kg投与の有効性および安全性が検証されました。
【CSLベーリングの遺伝性血管性浮腫(HAE)への取り組みについて】
日本においては、「ベリナート®皮下注用2000」に先立って、同一有効成分の静注用製剤「ベリナート® P静注用500」が既に上市されており、1990年にHAEの急性発作の治療を適応として、さらに2017年には侵襲を伴う処置によるHAEの急性発作の発症抑制を追加適応として承認され、販売されています。
「ベリナート®皮下注用2000」は、世界では2017年に販売開始以来、Berinert®及びHaegarda®の販売名で、米国、欧州、オーストラリア等、30以上の国・地域で販売されています。CSLベーリングはこれまで40年近くにわたり、世界各国で、HAEコミュニティへの継続的な支援に取り組んでまいりました。日本で本年6月には、HAEの患者さんとご家族への情報提供の充実を図り、疾患啓発サイト「HAE情報センター」をリニューアルいたしました。 このリニューアルは、疾患に関する正しい情報をよりわかりやすくお伝えし、患者さんやご家族の心配や不安を解消するとともに、患者さんのQOLの向上に寄与することを目的としたものです。
また、CSLベーリングでは、「今までもこの先も、最も信頼され、HAE患者さんに貢献し続ける」ことをスローガンに、新たに「つなぐプロジェクト」を開始しました。CSLベーリングと医療関係者の方々及び医療関係者と患者さんの間の関係をより密にしていただくことで、より良いHAE医療を実現するための全社を挙げた取り組みです。本取り組みを通じて、HAEの患者さんやご家族の声に耳を傾け、アンメットニーズに貢献するイノベーションを促進し続けてまいります。CSLベーリングは、HAE患者さんの生活の質の向上や、患者さんに対する理解の広がりに貢献することを目指しています。
【CSLベーリング株式会社(日本法人)について】
CSLベーリング株式会社は、生物学的製剤のグローバル企業であるCSLベーリング(本社アメリカ)の日本法人です。免疫・希少疾患領域、救命救急・止血領域、及び血友病領域を主要領域としています。2016年には血友病領域に参入し、遺伝子組換え血友病B治療薬を上市しました。血友病領域では、さらに、2017年12月に遺伝子組換え血友病A治療薬を発売しました。
2017年9月には、ビタミンK拮抗薬療法時の出血傾向を抑制する、静注用人プロトロンビン複合体製剤を発売しました。2019年3月には20%皮下注用人免疫グロブリン製剤が、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」を効能又は効果として、適応追加の承認を取得しました。
2019年3月に10%液状静注用人免疫グロブリン製剤が、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善」と「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」を効能又は効果として製造販売承認を取得し、2020年2月には無又は低ガンマグロブリン血症の適応追加も承認されました。
日本において生物学的製剤を専門とする企業として設立以来歩みを重ね、2020年で20周年を迎えました。CSLベーリングは、今後とも日本の医療に、ひいては患者さんやご家族の生活の質の更なる向上に貢献してまいります。https://www.cslbehring.co.jp
《患者さん・一般向け情報サイト》
- E-免疫.com:http://csl-info.com/e-meneki/
- CIDPマイライフ:https://csl-info.com/cidp_pt/
- HAE情報センター:https://csl-info.com/hae-info/
- ヘモフィリアナビゲーター:https://csl-info.com/hemophilia-navi/
- 血友病B患者さん向けウェブサイト:https://csl-info.com/dowhatyouwant/
CSLベーリングは、2021年に設立された遺伝性血管性浮腫の早期診断実現を目指すコンソーシアム、一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(Diagnostic Consortium to Advance the Ecosystem for Hereditary Angioedema 略称:DISCOVERY)に参加しています。
- DISCOVERYウェブサイト:https://discovery0208.or.jp/
Reference:
1. 大澤勲編:難病遺伝性血管性浮腫 HAE 医薬ジャーナル社
2. Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med. 2006;67(12):654-657.)
3. Horiuchi T. Hereditary Angioedema from 1888 to 2018 -Progress and Problems. Intern Med. 2018 Nov 1;57(21):3065-3066.
4. Prevention of hereditary angioedema attacks with a subcutaneous C1 inhibitor. Longhurst H, et al. N Eng J Med. 2017;376:1131-1140.
5. Long-Term Outcomes with Subcutaneous C1-Inhibitor Replacement Therapy for Prevention of Hereditary Angioedema Attacks. Craig et al. J Allergy Clin Immunol Pract. 7(6):1793–1802.
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お問い合わせ先
CSLベーリング株式会社 コーポレート コミュニケーション
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