CSL Behringが2020年10月8日(現地時間)にアメリカで発表したプレスリリースを日本語に翻訳・編集したものです。
内容および解釈は原文(英語)が優先します。原文掲載:https://www.cslbehring.com
CoVIg-19 Plasma Alliance(以下「CoVIg-19アライアンス」)は、このたび、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」において、患者さんが登録されたことを確認しましたので、お知らせします。CoVIg-19アライアンスは、血漿分画製剤で世界をリードする製薬会社が協業し、業界以外のグローバル組織も支援する前例のない取り組みです。ITAC試験では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により重篤化リスクのある患者さんを治療できる可能性のある、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig)の安全性、忍容性、有効性を評価します。成功すれば、アライアンスで取り組んでいるH-Igが、入院が必要なCOVID-19患者さんを対象とした最も早く承認を得る治療選択肢の一つになる可能性があります。
ITAC試験は、国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、米国やメキシコ、その他16カ国の5大陸にわたる最大58施設において実施されます。発症後12日以内で、生命を脅かすような臓器障害や終末臓器不全のない成人のCOVID-19入院患者500人が登録される予定です※2。標準治療としてレムデシビルが投与され、さらにH-Igが投与された時の安全性と有効性が評価されます。治験に使われるH-Igは、CoVIg-19アライアンスよりCSL Behringおよび武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)が提供するほか、他2社からも提供される予定です。
武田薬品のPlasma-Derived Therapies Business UnitのPresidentであり、CoVIg-19アライアンスの共同リーダーであるJulie Kimは、「この取り組みを始めてわずか数か月で、臨床試験に患者さんを登録するという重要な節目を迎えることができました。この急速な進展は、COVID-19パンデミックと闘うために、バイオメディカル・コミュニティ全体で協力し、決断し、イノベーションを生み出したからこそ成し得たことです。この臨床試験により、CoVIg-19アライアンスのH-Igがどのように重要な治療オプションとなり得るのか理解することができます。私たちは、COVID-19から回復したすべての方に、血漿を提供し、この取り組みを支援いただけるよう呼び掛けています※1。回復者の方からの血漿には、この病気と闘い抜いた貴重な抗体が含まれており、同じ病気で苦しむ人を救える可能性があります」と述べています。
CSL BehringのExecutive Vice President, Head of Research and Development and Chief Medical OfficerでありCoVIg-19アライアンスの共同リーダーであるBill Mezzanotteは、「4月にCoVIg-19アライアンスを結成したとき、私たちの目標は、連携することによりCOVID-19の影響を受けている人々に一日でも早く、信頼性が高く安定供給可能な治療オプションを開発・提供すること、また目下のパンデミックと闘う世界中の国々を支援することでした。CoVIg-19アライアンスにおけるメンバー企業間の前例のない連携、自らの血漿を提供する選択をしてくださった回復者の皆さんの協力、およびNIHからの強力な支援により、私たちは、年内にも本臨床試験の結果が出るものと期待しています。臨床試験が成功すれば、本治療薬は、COVID-19により重大な健康上の影響を受ける人々に新たな希望をもたらす可能性があります」と述べています。
ITAC試験の詳細については、ClinicalTrials.govをご覧ください。
- ※1日本において、COVID-19から回復した方の血漿収集は実施しておりません。
- ※2NIHのInternational Network for Strategic Initiatives in Global HIV Trials(INSIGHT)の枠組みで実施されます。
CoVIg-19 Plasma Alliance (CoVIg-19アライアンス)について
COVID-19パンデミックとの闘いに対処するため、COVID-19による重篤な合併症のリスクを有する人を対象とした血漿分画製剤の開発を目的に、2020年4月に結成されました。CoVIg-19アライアンスでは、血漿分画製剤で世界をリードする製薬会社が集まり、COVID-19による重篤な合併症のリスクを有する患者さんの治療薬となり得るノーブランドの抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤の開発に取り組んでいます。高度免疫グロブリン製剤は、COVID-19から回復した方から提供された血漿から精製され、一定量かつ高濃度の抗体を含有する高品質の医薬品です。
CoVIg-19の「Ig」は抗体である免疫グロブリン(immune globulin)を表し、CoVIg-19アライアンスでは、免疫グロブリン(抗体)を治療候補薬に濃縮する取り組みが行われています。CSL Behringと武田薬品によって結成されたCoVIg-19アライアンスには、創設当初からのメンバーであるBiotest、BPL、LFB、Octapharmaに加え、ADMA Biologics、BioPharma Plasma、GC Pharma、Liminal BioSciences、National Bioproducts Institute、Sanquinといった追加メンバーからの、最先端の専門知識が集結しています。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団がアドバイザーとして支援しており、MicrosoftがCoVIg-19アライアンスのウェブサイトやドナー募集のための「Plasma Bot」などの技術を提供しています。PallやUber Healthなどの組織もCoVIg-19アライアンスに協力しています。CoVIg-19アライアンスの専門家たちは、血漿採取、臨床試験、製造などの主要な活動において協力しています。
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