CIDPは、日本で指定難病に認定されており、神経の電気信号を身体の他の部分へ伝える速度を速める役目を担うミエリン鞘が損傷し、結果としてしびれ感、筋力低下、疲労、その他の症状が現れます。CIDP の症状は再発再燃を繰り返し、著しい活動の制限や生活の質の低下につながるような経時的悪化を示す場合も少なくありません。適切な治療が行われないとCIDP患者さんのおよそ30%が車椅子に頼る生活になる可能性があります。[i]
ハイゼントラは国内で唯一の皮下注用で高濃度(20%)の人免疫グロブリン製剤です。CIDPの進行抑制薬として在宅での自己投与も可能となり、CIDP患者さんや医療関係者の負担低減につながります。さらに安定した血清IgGレベルを維持、且つ全身性の副作用を抑えて病勢の進行を抑制できることが期待されます。
ハイゼントラの安全性、有効性および忍容性をプラセボとの比較において評価した国際共同第III相PATH試験(Polyneuropathy And Treatment with Hizentra)では、その主要有効性評価項目である24週間のCIDPの再発または試験を中止した患者さんの割合はプラセボ群の63%と比較して、ハイゼントラの低用量(0.2 g/kg/週)群で39%、高用量(0.4 g/kg/週)群で33%(p値はそれぞれ0.007 および <0.001、片側Fisher確率検定)となりました。ハイゼントラはいずれの用量でも安全性及び忍容性で良好な結果を得られました。有害事象はプラセボ群の37%、ハイゼントラ低用量群の58%、ハイゼントラ高用量群の52%で発現しましたが、ほとんどが注入部位での局所反応でした。
千葉大学大学院医学研究院 脳神経内科教授 桑原聡医師は、次のように述べています。
「CIDPの治療選択肢はありますが、生活・就業スタイルによっては頻回の通院が困難な患者さんも少なくありません。在宅で自己投与が可能な本邦初の人免疫グロブリン製剤がこの度、承認されました。本剤が新たに治療選択肢に加わることにより、その利便性と長期予後の改善が期待されるこの新たなCIDPの維持療法が、今後広がっていくことを期待します。」
CSLベーリング株式会社代表取締役社長ジャン・マルク モランジュは、次のように述べています。「ハイゼントラは、国内で唯一の皮下注用で高濃度(20%)の人免疫グロブリン製剤です。2013年に製造販売承認を取得して以来、無又は低ガンマグロブリン血症の在宅治療が可能な薬剤として使用されてきましたが、この度、CIDPの進行抑制に使えるようになりました。
CSL ベーリングは、長年にわたり世界的に、免疫グロブリン療法における専門性を有しており、この度、日本の患者さんやそのご家族、医療従事者の方々のアンメットニーズに応えることが期待される新たな選択肢が加わったことをうれしく思います。」
CSLベーリングは、世界中でいまだ解決されていない医療ニーズに応えうる製剤の開発に力を注いでいます。今後も日本において、充実した開発パイプラインを推進し、患者さんやそのご家族の生活の質の向上に寄与できる製剤を届けることに専心して参ります。
■ハイゼントラ®〔pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)〕の製品概要
販売名 |
ハイゼントラ® 20% 皮下注1g/5mL、同2g/10mL、同4g/20mL |
一般名 |
pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射) |
効能又は効果 |
・無又は低ガンマグロブリン血症 |
製造販売承認取得 |
2013年9月 |
■CIDPについて
CIDPは末梢神経(脳および脊髄以外の神経)に障害を生じる稀な自己免疫性疾患です。年齢を問わず幅広い年齢層において発症する可能性があり、患者さんは女性よりも男性に多く見られます。米国の発症率は年約10万人に2人であり、患者数は約4万人と推定されています。[ii]日本の有病率は、年10万人に1.61人であり、患者数は4,633人(平成26年度医療受給者証保持者数)と推定されています。[iii]
皮下注射用に開発された世界初の20%製剤であるハイゼントラ(皮下注用人免疫グロブリン [SCIG] 20%製剤)は、免疫不全症や特定の自己免疫疾患の治療薬として45以上の国と地域で承認されています。ハイゼントラは、世界で最も多く処方されているSCIGであり、安全性、有効性、忍容性の実績を有し、2010年以降世界中で480万回以上投与されています。この度、新たに日本でCIDPの治療薬として効能追加の承認を取得いたしました。
【CSLベーリング株式会社(日本法人)について】
CSLベーリング株式会社は、生物学的製剤のグローバル企業であるCSLベーリング(本社:アメリカ)の日本法人です(本社:東京都江東区、代表取締役社長:ジャン・マルク モランジュ)。免疫・希少疾患領域、救命救急・止血領域、及び血友病領域を主要領域としています。
2016年に血友病治療領域に参入し、高いトラフ値を保ちながら、2週間に一度の定期補充療法を可能にした血友病B治療薬を上市しました。血友病領域では、さらに、2017年12月に国内初のシングルチェーン製剤である血友病A治療薬を発売致しました。
2017年9月には、ビタミンK拮抗薬服用中の患者さんの出血傾向を是正することを可能にした、日本で初めてとなる静注用人プロトロンビン複合体製剤を発売しました。
CSLベーリングは、日本の医療に、ひいては患者さんやご家族の生活の質の更なる向上に貢献してまいります。
【CSLベーリング (CSL Behring LLC) について】
CSLベーリングは、生物学的製剤のグローバル企業です。患者さんのアンメットニーズに応えるため、最新のテクノロジーに基づき、血液凝固疾患、原発性免疫不全症候群、遺伝性血管性浮腫、遺伝性呼吸器疾患、神経系疾患などの治療に用いられる製剤を開発、提供しています。また、CSLベーリングの製品は、心臓手術、臓器移植、やけど、新生児の溶血性疾患の予防などにも広く使用されています。
CSLベーリングは、世界でも最大規模の血漿採取ネットワーク(CSL Plasma)を運営しています。親会社であるCSL(CSL Limited 、ASX:CSL)はオーストラリア、メルボルンに本社を置き、CSLグループ全体で従業員22,000人を擁し、世界60ヵ国以上で救命に寄与する製剤をお届けしています。
We are Driven by Our Promise™
https://www.cslbehring.com
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お問い合わせ先
CSLベーリング株式会社
コーポレート コミュニケーション
電話:03-3534-5735 Fax:03-3534-586
[i] American Association of Neuromuscular & Electrodiagnostic Medicine (2017). Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy. http://www.aanem.org/Patients/Disorders/Chronic-Inflammatory-Demyelinating-Polyneurophathy. Accessed October 2017.
[ii] Laughlin R.S. et al. Incidence and prevalence of CIDP and the association of diabetes mellitus. Neurology. 7;73(1):39-45.
[iii] 難病情報センター:慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(指定難病14)http://www.nanbyou.or.jp/entry/4090